「マインドフルネスのやり方」と調べると、たいてい「静かな場所に座って、目を閉じて、呼吸に集中します」と出てきます。
でも、正直なところ、
- 「そもそも、座ってじっとしている時間がない」
- 「目を閉じたら、仕事のことばかり浮かんでくる」
- 「これで合っているのか、さっぱりわからない」
と感じて、そこで止まってしまう方も多いんじゃないでしょうか。
でも、実はそこで止まらなくていいんです。
マインドフルネスは、座らなくてもできます。皿洗いでも掃除でも、目の前のことに注意を向けて没頭していれば、それがマインドフルネスの実践なんです。
ぼく自身、瞑想なんて怪しいと思っていた人間です。
(瞑想を始めたきっかけについては、こちらの記事でも書いていますので、よろしければご覧ください)
そんなぼくが、日常の中で実際にやってきたことをもとに、座らなくてもできる3つのやり方をお伝えします。
🔍 マインドフルネスのやり方は「注意を、今に置く」だけ
まず、やり方の土台になる考え方から押さえておきます。

マインドフルネスを医療の世界に持ち込んだジョン・カバット・ジン博士の言葉として、マサチューセッツ大学系の医療機関のページでは、こう紹介されています(ぼくの訳です)。
今この瞬間に、意図して、評価や判断をせずに注意を向けることから生まれる気づき
同じページには、その体験を、自分を責めたり変えようとしたりせずに見ていく、とも書かれています。
ここで大事なのは、「どこで」「どんな姿勢で」とは、ひと言も書かれていないことです。
座るかどうかは、条件ではないんですね。
「上の空」の反対が、マインドフルネス
逆に考えると、わかりやすくなります。
お皿を洗いながら、頭の中では明日の会議の段取りを考えている。気づいたら洗い終わっていて、どのお皿を洗ったかも覚えていない。
体はキッチンにいるのに、心は会議室にいる。この「上の空」の状態が、マインドフルネスの反対です。
同じ皿洗いでも、水の温度や、スポンジを持つ手の感じに注意を向けて、目の前の1枚に没頭する。
これが、日常でやるマインドフルネスなんです。
皿洗いを楽しむために、皿を洗う
ベトナム出身の禅僧ティク・ナット・ハン師が開いた修行の場、プラムヴィレッジのサイトには、皿洗いについての記事があります。
そこでは、お皿をきれいにして次のことに移るためだけに洗っているなら、まだ「皿洗いの禅」にはたどり着いていない、と書かれています。そして、ティク・ナット・ハン師の言葉として、皿を洗う方法はひとつだけ、「皿洗いを楽しむこと」だと紹介しています。
(参考:The Zen of Dishwashing(Plum Village)、2026年11月確認)
家事を「早く片づけるもの」から、「それ自体をやるもの」に変える。
座って目を閉じるよりも、こちらのほうがとっつきやすい、という方もいるんじゃないかと思います。
🌱 日常でできる、マインドフルネスの3つの実践
では、具体的にどうすればいいのか。
ここからは、ぼくが自分の日常でやってきたことを、3つのやり方に分けてお伝えします。
いきなり全部やろうとしなくていいので、1つだけ選んでみてください。
実践1:スマホを置いて、ただ歩く
1つ目は、歩くことです。
2015年の春、会社を辞めて関西に戻ったころ、ぼくは朝4時から家族が起きてくるまでの時間に、家の近くの清流のほとりを歩いていました。
何も考えずに、ただ歩く。
聞こえてくるのは、水の流れと鶯の鳴き声。まだ冷んやりした早朝の空気の中で、川辺の緑が濃くなっていくのを見ながら、深呼吸をする。
当時のぼくは、こう書いています。
「深呼吸で取り込むマイナスイオンが、濁り切った自分の心を浄化してくれる気分になる」
ちなみに、東京で働いていたころは、iPod を肌身離さず持ち歩いていました。それが、引っ越してからは引き出しの中に眠っていたんです。
やり方:
- スマホとイヤホンは、ポケットにしまう(できれば家に置いていく)
- 歩きながら、聞こえてくる音を1つずつ拾う(車、鳥、風、自分の足音)
- 考えごとに気づいたら、また音か足の裏の感じに戻る
近所のコンビニまでの5分でもかまいません。
実践2:単純な動きを、無心になるまで繰り返す
2つ目は、手や体を動かす単純作業に没頭することです。
皿洗いや掃除は、まさにこれにあたります。ぼくの日課にも、毎日のトイレ掃除があります。
それから、2026年の初めから取り入れているのが、スワイショウです。
太極拳の準備運動で、「腕を前後に振ったり、あと腰入れてひねったり、もうそれだけ」。それを、無意識になるくらいまでひたすら続けます。
体をでんでん太鼓のように振って、余計な雑念を振り落としていく、という運動です。ぼくの場合は、10分くらいやっています。
(スワイショウや、ランニングを続けて起きた変化は、あすコロの記事でも書いていますので、よろしければご覧ください)

やり方:
- 皿洗い・掃除・スワイショウなど、頭を使わずにできる動きを1つ選ぶ
- 「今、手がどう動いているか」「水や床がどんな感じか」に注意を向ける
- 「早く終わらせよう」と思ったら、そのことに気づいて、また手元に戻る
ポイントは、作業を「終わらせるため」ではなく、「その作業をするため」にやることです。
実践3:頭がカッとなったら、何も考えずに深呼吸
3つ目は、呼吸に戻ることです。
これは、いちばん「マインドフルネスの呼吸法」らしいやり方かもしれません。
2015年、主夫として家にいたころ、家で怒りが爆発しそうになる場面が何度もありました。
前の日は疲れていて、まんまとキレてしまった。同じ過ちを繰り返したくない。
そこで決めたのが、これです。
「ブチ切れそうになったら『何も考えずに』深呼吸をする」
2015年のぼくは、こう考えていました。怒りに火がつくと、心拍数が上がって、呼吸が速くなる。このとき、頭で「落ち着こう」と考えても、頭はもう沸騰しているので効かない。
それよりも、呼吸の速さに強制的にブレーキをかけたほうが、心拍数が下がって、テンションも下がる、と。
考えて落ち着くのではなく、呼吸に注意を戻して、考えが入りこむスキを与えない。
呼吸に戻るこのやり方は、怒りに限らず、焦っているときや緊張しているときにも試せます。
とは言え、偉そうなことは言えません。当時のぼくは「10回に1回くらいは効果を発揮するかもしれない」と書いていますし、実際、うまくいった日もあれば、しっかりキレた日もありました。
「反省しか出来ない『サル』やけど、それでも反省せんよりはええやないか」と、開き直っていたくらいです(笑)。
(怒りが湧いてきたときの瞑想の使い方は、こちらの記事でも書いていますので、よろしければご覧ください)
やり方:
- 「カッとなった」「焦っている」と気づいたら、何も考えずに、ゆっくり息を吐く
- 吐く息、吸う息に、ただ注意を向ける
- 数回でいいので、呼吸が少し落ち着くまで続ける
(深呼吸のやり方については、こちらの記事でも書いていますので、よろしければご覧ください)
🤔 日常の実践で、つまずきやすいところ
「没頭できていない」と気づいたら、それでOK
皿洗いをしていても、歩いていても、気づいたら考えごとをしている。
これは失敗ではありません。
「あ、今、考えごとをしていたな」と気づいた瞬間が、まさにマインドフルネスなんです。
そこから、また手元や足元に注意を戻せばいいだけです。
「考えごとを止めよう」とがんばらない
考えごとを止めようと力むほど、頭の中はその考えごとでいっぱいになります。止めようとすること自体が、そこに注意を向けることだからです。
それよりも、注意の置き場所を水の感じや川の音、呼吸に移しておく。すると、さっきまでの考えごとは、気づいたら離れているんです。
日常の実践がやりやすいのは、この「別のところ」が、最初から目の前にあるからなんです。
(「考えないようにする」ほど離れなくなる理由は、あすコロの記事でも書いていますので、よろしければご覧ください)

座る瞑想は、やらなくていいの?
やらなくても、マインドフルネスは実践できます。
ただ、日常の中で「今」に戻る力をつけたいなら、座る瞑想は、その練習にちょうどいい場所になります。
野球で素振りを繰り返しておくと、試合で自然にバットが出るようになりますよね。それと同じで、座って呼吸に戻る練習をしておくと、皿洗いや散歩の途中でも「今」に戻りやすくなるんです。
(座る瞑想のやり方については、こちらの記事でも書いていますので、よろしければご覧ください)
📱 呼吸だけに向き合う時間を、アプリに手伝ってもらう
皿洗いや散歩なら、手や足を動かしている分、注意を置く場所があります。
ところが、何もせずに座ると、置き場所は呼吸だけになる。「じゃあ、どうしたらええねん」と、そこで手持ち無沙汰になってしまうのは、意外と難しいところですよね。
ぼくが作った瞑想アプリ「Meiso」では、画面に「吸う」「止める」「吐く」の呼吸ガイドが出て、鐘の音と自然音に合わせて、最短5分から瞑想できます。478呼吸法にも対応しています。
すべての機能を課金なしで使えます(瞑想画面と終了後に広告が出ます。広告を消す課金と、投げ銭の課金もあります)。
(参考:Meiso公式サイト、Meisoの使い方(Meiso公式サイト)、2026年11月確認)
よろしければ、使ってみてもらえるとうれしいです。
📝 まとめ
今日の皿洗いの1枚目だけ、水の温度を感じてみる。
まずは、そのくらいの小さな一歩からで十分なんです。
何かのお役に立てれば幸いです。では、また。
- 🔍 マインドフルネスのやり方の土台は、「今この瞬間に、意図して注意を向ける」こと。座ることは条件ではない
- 🍽️ 皿洗いでも掃除でも、目の前のことに没頭していれば、それがマインドフルネス
- 🚶 実践1:スマホを置いて、音や足の裏に注意を向けながら、ただ歩く
- 🔄 実践2:皿洗い・掃除・スワイショウなど、単純な動きを「終わらせるため」ではなく「それをするため」にやる
- 🌬️ 実践3:カッとなったら、頭で考えずに、呼吸に注意を戻す
- 💡 考えごとに気づいたら、それが成功。また手元・足元・呼吸に戻ればいい
- 🧘 座る瞑想は、日常で「今」に戻る力をつけるための練習の場
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